気仙沼日記8日目

精神科医に向けて書きます

 

・山村を回診する。一つの山に一軒の家があるくらいの人口密度。

 

・そういう中に、いわゆる「濃厚家系」がいる。全員が未治療。

 

・積んである紙束にword saladが出ている、部屋は乱雑、体調の変化を尋ねても「どうだったかなアハハ」としか言わないが、薬の足りない日数は分かっている。

 

・処方されるのは、降圧剤とベシケアとか。定期薬。

 

・往診医(極めて優秀な内科医)は、「統合失調症って妄想とか幻聴が聞こえるのでしょ、あの人はそういうこと言わないよ。たしかに変わってるけど。」

 

・食料はときどき山を下りてドラッグストアで買っているらしい。あとは往診のときにエンシュアを要求したりする。

 

・彼らはニコニコして生活している。

 

 

これが世田谷だったら、「ゴミ屋敷」「不潔だ」と通報され、

保健所から頼んでもいないのに「アウトリーチ」の人間が

どかどかと部屋に入ってきて、

少しでも声を出そうものなら強制入院(措置かな)になるのだろう。

 

おそらくは「薬物反応性」もすごく悪いし、

ケースワークも難渋して、

措置をとる病院を三か月で追い出されたら、

民間の精神科病院で、おそらく死ぬまで体幹拘束だろう。

 

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シゾフレニアが問題になるのは

(対象者と医療者が両方含まれるところの)生活空間がorganizedでsocialであり、

かつそれ以外に排他的であるからで、

「解体」や「自閉」それ自体は生活姿勢として完結している。

 

「悪さをする隣人」というのも、

隣人概念が極端に薄いこの土地で生じるかどうか。

 

 

なによりそこの人たちはごく自然に生活している。

一番苦しんでいるのは本人である、という詭弁も、とても通用しない。

 

矯正から抜け出ないといけない。