音楽と言葉とうつ病分類  木村敏訳「音楽と言葉」

 

 

西洋音楽の中心が、
長短のアクセント構造を持つギリシア語文化(西暦1000年頃から)から
強弱のアクセント構造を持つドイツ語文化(バッハの登場前後から先)に移ったことで起きた変化についての論説。

 


著者が、ドイツの大学で研究しているギリシア人教授だというところに深みがあった。

訳者が精神科医の木村敏先生(うつ病の笠原-木村分類を提唱した)である理由が
訳者あとがきを読むまで謎だった。

(60年代に訳者がドイツ留学した際、ゲオルギアーデスの講義を聞いたのが発端らしい。ロ短調ミサを励みに戦中の山村で勉学に励んだ話があり、斬新な二宮エピソードだった。)

 


バッハ ロ短調ミサ BWV 232

 

 


本論からやや離れるが、一点で特に興味をひかれた。

つい300年くらい前までは
音楽というのは(聴衆にとって)今その時代に書かれて演奏されるものでしかなかったが、メンデルスゾーンシューマンらの登場以後は、
「過去の音楽」にも積極的な価値が置かれるようになり、
音楽に対して積極的に振る舞う構造ができたという指摘。

 

「偶然その時そこにある音楽」から
「過去の歴史そのもの、或いはそれを受けて新たに作られた音楽」への転換。


そう考えるとバッハの音楽は終わりの始まりであったのかもしれない。

 

 

付録。

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 長方形の中に文学があってとても良い。

 

 

 

 

音楽と言語 (講談社学術文庫)