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special pleading な議論 ― 加藤陽子 それでも日本人は「戦争」を選んだ

 

「進化しすぎた脳」という本が、10年ほど前に流行した。

高校生を相手に、大学教授が最新の研究成果を授業するというスタイル。

この本もそういう作りだった。

ただ脳科学風釈迦説法が相対主義にしばしば陥るのに対して、

この本は極めてリアリスティックな軍事史・現代史の教科書であった。

 

 

連盟サラバ!我ガ代表堂々退場ス!という渾身のスタンダップをやった松岡全権大使のエピソードが多い。

 


Japan Walks Out Of Geneva Assembly - YouTube

 

 

実際には冷静な人間だったという話だ。以下に彼の手紙から引用。

 

「二十一カ条要求については、所詮、我においてこれを弁疏せんとするすら実は野暮なり。我いうところ、多くはspecial pleadingにして、他人も強盗を働けることありとて自己の所為の必ずしも咎むべからざるを主張せんとするは畢竟窮余の辞なり。」

 

つまり

山東地方を明け渡せという中国に対する日本の行動(21カ条の要求)が世界中から批判を浴びて、

それに対して日本政府(&一部の国民)が

「他の国もこれまで悪いことをしたんだから、日本だけが責められるのはオカシイ」

と今思うとウフフアハハなことを言っていた。

それに対して松岡が、そんな考え方はspecial pleadingだ、他の人も強盗を働いたのだから自分だっていいじゃないかという議論は、あまりにもお花畑ですよと真っ当な意見を残していた。

 

(歴史とは過去と現在の尽きることのない対話だ、という言葉があるが、まさにその通りだと思う。)

 

ただ、いくら良心が反対していたといっても、

自分の職務だからといって上司の破滅的な命令に従った人を擁護する気にはならない。具体的に言うと友達にはなりたくないタイプだ。

(「本当は戦争に反対だった」という日記だかが最近一面を飾った戦争当時のとても偉い人もいたが。)

 

 

勉強になったし極めて良い本だった。

 

 

 

それでも、日本人は「戦争」を選んだ