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いい話をシェアしたがる大人  モーパッサン「脂肪の塊」

 

田舎町ルーアンはドイツ軍の支配下に置かれた。

街から抜け出す為の馬車に7人が乗り合わせた。

 

上等の席には、裕福な商人夫妻、県会議員夫妻とノルマンディの伯爵夫妻。

 端の席に、美しく肥満した娼婦。

 

 

雪のせいで馬車は予定から大幅に遅れ、一向に進まない。

食事の準備をしていなかった上客は絶望的な飢えを感じる。

娼婦は、何日分もあるような食事箱を取り出し、皆に分け与えた。

寒さに震える婦人には、用意していた毛布を渡した。

一同は飢えから救われ、寒さから救われた。

 

 

 

さらに進むと民宿が見つかった。

一晩休憩して、夜が明けてから出発することになった。

しかし宿に入ると、そこはドイツ軍人に接収されていて、

娼婦が軍人と一晩共にするまで出発を認めないと言う。

 

娼婦は愛郷心からこれを強く拒否する。

侵略されてから軍人に何一つ逆らえないでいた一同は、心の中で彼女に喝采を送った。

 

しかしそのやり取りが幾番も続いて、一向はいつまでも出発できない。

 

そのうちに婦人たちが、続いて夫たちも、娼婦を心変わりさせようと策を巡らす。

聖書の寓話からギリシャの神話まで、

古今東西の「身を挺して国を救った女たち」の話を吹き込み、

或いは娼婦を教会に連れ出し、

「神は動機さえ立派なら、どんな行いでも許してくださる」と尼に言わせたりする。

  

 

 

道徳心とか昔話ってのは、いつの時代もそういうものだったんだなっていう感想。

 

 

 

 

 脂肪の塊 (新潮文庫)