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遺伝子とタンパク質のスープに揉まれて  G・ウィリアムス「生物はなぜ進化するのか」

 

科学の知見を語るときに
目的論的な説明をすることを僕はこれまで避けてきたけれど、
この著者が言うみたいに
既知の事実を物語として配列することが、
将来の発見への手掛かりとなるっていうのも素敵だなと思った。
(それなら一層、その物語というのは概念的なツールであって、
新書のネタとして消費されることからは遠ざかるが。)


ヒトの眼が2つしかないことを
創造論への反駁としていたのは新鮮だった。
「いかに生物の身体がうまくできているか」だけじゃなくて
「いかに不具合なつくりになってるか、またそれは適応やgenetic successの観点からなぜ生じたか」が述べられていて面白かった。
井上ひさしの憲法論みたいな。


あと、
遺伝子型-生物の関係を
設計図-建築物の関係に比喩的に置き換えることがよくあるけれど、

1.建築物から設計図を(意味的に一義に)書き起こすことは出来るが、生物から遺伝子型を書き起こすことは出来ない
2.建築物の一部(たとえば北側の窓の手すり)と設計図の一部分(33ページの右下、とか)を対応させることは出来るが、生物の一部とゲノムの一部を(1対1で)対応させることは出来ない

という点からそれが誤解を招きやすいという指摘があった。

上の二つの観点を考慮すると、
設計図and建築物というよりもレシピandお菓子の関係だ、と。
これはなるほど正確だなと思った。

有機的な感触もあってすごくいい。
 

おわり