非積極的な平等とは  辻村みよ子「ポジティブ・アクション」

 

「数学科の募集人員9人のうち、4人を女性枠、5人を一般枠とします。」

っていうのを九州大学の理学部が発表して話題になったことがあった。

実際上の格差を是正するために行われるこういう行動をPA;ポジティブ・アクション(とか、アファーマティブ・アクション)って呼ぶんだけど、それについての本。...

他には、

・貧困地区の学校に教育予算を多く付ける(フランス)
障碍者、未成年者の代表に占めるべき議席の最低数が決まってる(ルワンダ
・候補者名簿で女性の割合が一定上であることを政党に要求する(韓国)

とか、世界中の色んな分野で行われてる(らしい)んだけれど、

「あ、いいね。大事だよね、そういうこと。」

で済めばいいんだけど、

「逆差別じゃないか!」

って怒る人たちもいて、

それってどうなんだろう、と。


判例とか統計資料を基に筆者の意見がまとめてあった。
勉強になったと思う。

法の下の平等」と「法による平等」っていう言葉の対比。

この本を読む限りでは、特にジェンダーと人種に関する事柄では、世界的にPAを認めていきましょう、という方向みたいだ。




考えたことは、
PAの考えに僕は全面的に賛成するけれど(格差が自然に解消されるのを待て、なんていうのは受動的な暴力だと思うし)、例えば、

「君はB子さんは同点で当落線上だけれど、君は男の子だから、今年はB子さんを合格にします。一年浪人して来年また受験してね☆」

ってに言われたら

「男ってだけで大学落とされた!ひどい!!」
 

と、 ならないとも言い切れない。三日前までPAに賛成してても、いざそれが自分に降りかかってきたら腹立たしくて忌々しい物に見えると思う。
簡単じゃないと思う。


もう一つ書くと、数学科における男女の数の違いが、是正すべき種類のものなのか、僕にはよく分からないけれど、少なくとも医学部にいて思うのは、女子学生がクラスの3割しかいないってのは不自然だと思う。産科の教授も男だし。
  
アメリカ人が古事記の研究をできない訳じゃないし、だから男だって婦人科医になれない訳じゃないと思うんだけど、難しいね。
(まぁ大半の医者は癌性疼痛の痛みも統合失調症の辛さも知らないままに治療してるわけだけれど。)
  

ポジティヴ・アクション――「法による平等」の技法 (岩波新書)