麦の若穂     フランクル「夜と霧」

 
 
高校生の時、倫理の教科書で“麦の若穂”のエピソードを知った。
タイトルも記憶しないままずっと頭の片隅に残っていたけれど、ホンのふとしたことで二度目の出会いがあるわけで、そういうときに幸せだなと感じる。
(あぁそれにしても授業科目に倫理と名付けるセンスの悪さ。)

著者による強制収容所での、“事実の報告ではなく、体験記”。
彼はウイーン大学の神経科教授であり、精神科医局長であり、また心理学者であった。ユダヤ人の追放がドイツで始まるまでは。そういうお話。
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旧訳者はわざわざ巻末でそれを否定していたけれど、ぼくはこの本の宣言こそがヘブライズムだと思う。その強さというか高尚さが沁みて、痛いほどだった。読むことが出来て良かったと思う。


それにしても最近は因縁を付けられているみたいに戦争の話ばかり降り掛かってくる。アドルフに告ぐ水木しげるヒットラーをこの前読んだばかりだし(この二冊はとても良かった)。
どんな本を読むかは、自分が決められることじゃなくて廊下で誰とすれ違うかみたいに偶発的なものだと思っているけれど。けれども。それにしてもですよね。

この時のドイツと、この頃に生まれた人たちが20年後にアメリカとかイギリスで作った空気、その二つが今の自分の主な興味の対象で、研修医終わったらどこか大学入り直してその辺りをもっと読み込みたい。
医学も面白いんだけれど、自分の一生を捧げる程かというと何とも。
医師免許は取るけどね。(車の免許はきっと取らない)
 
 

おわり