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もっとヘッドシェイクしてくださいという感じ 中井久夫「こんなときわたしはどうしてきたか」

・面接のたびに薬の飲み心地を聞いています。 飲み心地を問うのが精神科であり、飲んでいるかどうかをチェックするのは内科でしょう。 ・カタレプシーの解けた患者さんが、「自分が指一本動かしたとしたら、ひょっとしたら世界が壊れるかもしれない。私は世…

湿布

「なるほど…一人で生きていく自信がないと…そういうわけなんですね… 貴方の苦しみは…よく分かりました… 人間はとても弱い存在です… そう、ちょうどこの一枚の湿布のようにね… 触ってみてください…どうですか、ヌルヌルしているでしょう…フフフ… でもね…こう…

君ならできる   ワトソン 「二重らせん(中村桂子訳)」

DNA分子が2重螺旋を描くことは、いまや地動説くらいに当たり前のことだけれど、これが発見される前までは、DNA結晶のX線写真とその構成分子が知られていただけだった。 例えるなら、シルエットと建材の、たった2つヒントから大聖堂の設計図を再現するよう…

性交時頭痛について 岩田健太郎訳「ナラティブとエビデンスの間」

性交時頭痛という病名があるが、この命名は愚の骨頂だと思う。 患者の生活をより良くするために医療はあるべきであって、分類学的な位置を表すだけの病名に臨床上の価値はない。 理解できないものに対して人間が示す本能的な拒否感を考慮すれば、むしろ医療…

「向こうもちょっと寄ってみただけかもしれない」       笠原嘉「精神科における予診・初診・初期治療」

“精神科医というと、 「心因性」を第一に考慮することの専門家であるかのような誤解が 外部の人によってしばしばもたれるが、そうではない。 たしかに精神科医は「精神現象の病的側面へのアプローチ」を専門とするものだけれども、 そのことは「精神異常現象…

「豊富な経験と高度の学識」について  津田敏秀「医学的根拠とは何か」

「医師としての長年の経験から、物質Aはガンを治すと断言する。」 「実験により、物質Bにガンを治療する成分が含まれていると判明した。」 「某町8000人を対象とした調査により、物質Cはガンを治療すると分かった。」 A,B,Cのどれが世間で最も信用を得るだろ…

発作と宗教体験/オルガスム

神経内科医が研修医に送る小噺22選 ニュートンはなぜ人間嫌いになったのか―神経内科医が語る病と「生」のドラマ 1 脳梗塞/失認 脳のある部分が機能を失うと、「失認」が生じる。例えば、そこにあるのが「これは手である」ことは理解するが、「これは自分…

具合の悪い時は 笠原嘉「軽症うつ病」

内因性うつ、心因性うつという分類、言葉づかいや、 「こころ」と分子動態のつながりといった話には いつもどこかモヤモヤするものがあったが、 そうかこういう風に「語る」ものなのかとという 些細だけれど大きな経験をした。 読み甲斐のある本だった。 (…

科学と個人の隙間で  笠原嘉「精神病」

精神病、特に統合失調症について、 心理社会的な側面から生物学的なことまで 配慮が行き届いた文章だった。 神経症 neurosis と精神病 psychosis の境界についての考察も詳しい。 柔らかい、非常に読みやすい文章で、 きっと著者は実際に素晴らしい臨床医な…

遺伝子とタンパク質のスープに揉まれて  G・ウィリアムス「生物はなぜ進化するのか」

科学の知見を語るときに 目的論的な説明をすることを僕はこれまで避けてきたけれど、 この著者が言うみたいに 既知の事実を物語として配列することが、 将来の発見への手掛かりとなるっていうのも素敵だなと思った。 (それなら一層、その物語というのは概念…

騙されたいッ  D・トンプソン「すすんでダマされる人たち」

患者を薬漬けにしたほうが医者は儲かる なんて主張を聞くと、一瞬あぁそうかもなって思う。 タバコを吸っても肺がんリスクは変わらない、とか。 タバコ吸ってて健康な人たくさん知ってるしね? ワクチンは外来物だからホントは身体に悪い、とかとか。 一瞬そ…

イデオロギーと科学の間に                    S・グールド「人間の測り間違い 差別の科学史」

この本の主張は、狭義には 「知能が一つの数値として計測されうるもので、かつそれは生得的に決定されて、且つ強い遺伝性がある。」... という迷信を反証することだけど、 ―こう書くと、イマドキそんなこと言うやついるのかよって感じだけど、 人種論を「科…

麦の若穂     フランクル「夜と霧」

高校生の時、倫理の教科書で“麦の若穂”のエピソードを知った。 タイトルも記憶しないままずっと頭の片隅に残っていたけれど、ホンのふとしたことで二度目の出会いがあるわけで、そういうときに幸せだなと感じる。 (あぁそれにしても授業科目に倫理と名付け…

Ashleyの思い出   児玉真実:「アシュリー事件」

書店でタイトルが気になって購入した。 差別とか優生思想関係の本は興味があってよく読むけれど、その度に人間の排他性には生物学的な機序でもあるのかと思ってしまう。 時代も文化も違うはずの場所で、出来事があまりに似てるので。 おわり